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お出汁の適正濃度を考える上で忘れてはいけないことが一つあります。

それは「素材からも出汁はでる」ということです。

 

お料理でお出汁を使うというと煮物の話になるのは当たり前の様に思えますが、実は炒めものや揚げ物といった料理の場合、全体の水分量が少ないので素材の持つ旨味が逃げない、もしくは薄まらないので「旨味のかさ上げ=お出汁」が必要ないとも言えます。

 

本来素材のもつ旨味の量のイメージとしては「肉類>魚介類>野菜」という順列だと思っていただいていいかと思います。

しかし、一方でそれぞれの素材は旨味の分量と共に素材そのもの香りや脂の強さも正比例するため、調味料などを強くする必要も出て来ます。

 

前回例として上げたので、大根を例に「豚バラ肉と大根の煮物」「ぶり大根」「大根の含煮」と並べてみると素材の展開としてお分りいただけるかと思います。

ぶりは大型で脂が多いお魚で魚介類の中では比較的肉類に近いニュアンスを持っていますが、やはり豚バラの様な脂ではありません。

 

ではこの3つを同じお出汁で料理するとどうなるでしょう?

 

まず基準となる「大根の含め煮」の場合は大根を口に含んだ時に大根の香りと共に口の中で鰹の香りがほのかに感じられるくらいのお出汁の濃度が最適です。

これを基準と考えてください。

 

次に「豚バラ肉と大根の煮物」。

これは調味量が適正であった場合、豚バラからお出汁がしっかり出るため、鰹だしのクリアーな旨味に豚肉の旨味と香りがちょうどいい感じ重なり大根にしみます。

ですので、基準となる鰹出汁の濃度で大丈夫です。

 

いちばん悩むのは「ぶり大根」の場合です。

ぶりに限らず、魚介類に関しては旨味と調味料のバランスが悪いとお魚のもつ生臭さを消し去ることができず、また濃すぎてしまうと魚介類の繊細な味わいを壊してしまう可能性があるからです。

 

話を「ぶり大根」に戻すと、「ぶり大根」の場合はその煮込む部位によってことなります。

俗に「アラ」と呼ばれる部分を含めて煮る場合はアラからのお出汁がでるのでそのままでもいいのですが、アラが含まれていない場合はぶりの持つ香りが強いためお出汁を強くする必要があります。

 

この「お出汁を強くする」というのはお出汁の濃度を濃くするのではなく、お出汁に出汁昆布を加えることで鰹出汁自体の旨味をかさ上げすることを指します。

つまりお出汁で出汁を取るのです。

 

こうすることで、出汁の素材のクセを必要以上に強調することなく旨味を補填することができるのです。

 

こうして考えていくとお出汁としての適正濃度はお出汁本来の旨味を出しながらも、必要以上にお出汁の素材を強調しない程度の濃度が適正なのだと考えていいと思います。

 

具体的にはお出汁に少しお塩とお醤油を足した時に美味しいお吸い物ができる濃度。

それもいつまでも旨味が口に残りすぎず、さっぱりと、それでいてお出汁の香りが広がる。その濃度がお出汁としてジャストなのではと思っています。

 

お出汁は縁の下の力持ちなのです。

 

 

<次回に続く>
 
「レシピの読み方」は毎週木曜日更新予定です。次回更新は12月21日です 。  
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